エンドー(山形市)
エンドーがあるのはJR羽前千歳駅の西口から徒歩1分。JR山形駅から2駅という郊外の住宅街にあるローカルな食料品店だ。車で5分とかからない場所には郊外型の大手SCが進出し、この手の食料品店が苦戦を強いられているのは日本中の至るところで見る風景だが、店舗の前に並ぶ「げそ天」ののぼりに強い意志のようなものを感じてしまう。
正面入口からお店に入ると、入ってすぐの一等地にいきなりのげそ天コーナー。といっても、肝心のげそ天はなく、Tシャツや手ぬぐい、コラボの日本酒といったげそ天グッズが棚の大部分を占めている。どうやらげそ天は揚げたてを提供するので店頭には並んでいないようだ。げそ天をオーダーしようとすると、なんとフレーバーが9種類もある!この中から1番人気の塩レモンとブラックをオーダーしてイートインすることに。
で、窓際のイートインコーナー。昭和の匂いが全開の年季の入った机と日本酒のケースに段ボールを被せた椅子がたまらないww昔はここも食料品売場で陳列棚が並んでいたのだろう。かつては小規模スーパーのような業態だったのだろうが、ニーズの変化に伴って在庫と棚を減らし、現在は惣菜を中心とした食料品店に姿を変えている辺りに食料品小売業の現実を考えさせられる。
そして、オーダーしていたげそ天が到着。価格相応のボリューム感はあるが、一つ一つのげそ天はコンパクトで衣も油っぽくないのでサクサクと食べることができる。スナック感覚で子どものおやつに食べることができるし、ビールのつまみにしたら止まらなくなりそうだ。店主に話を聞いてみると毎月末の土曜日には「立ち呑みエンドー」を開催しているとのこと。山形市内のオシャレな飲食店が出店することもあるとのことで、こちらも行ってみたい!
エンドーの本業が食料品小売業であることは言うまでもないが、同業他社がそうであるように手作りの惣菜に力を入れている。つまり、正確には製造小売業であり、次々と新しいフレーバーやコラボ商品を開発する姿勢は大袈裟に言えば食品メーカーのような感すらある。加えて店内で実施する「立ち呑みエンドー」は完全に飲食業であり、モノだけでなくコトを提供する業態へと進歩している。食料品小売業を基軸にしながらも、げそ天に着目して製造業から飲食店まで業種を横断し、情報発信で商圏を広域化する事業展開には食料品小売業の可能性について考えさせられるのだ。
名称:エンドー
場所:山形市長町2-1-33
営業時間:10:00〜19:00
定休日:日曜日
駐車場:有り(店舗に隣接)